三億の鼓動

【復活記事】コロナ禍の中、小規模同人誌即売会主催としてやったこと、やれなかったこと、やらなきゃいけなかったこと 5

最終回・コロナ禍のなか2つ目の同人誌即売会をする話。

4/5開催予定だった「伺か」オンリーを9/6に延期した。
いよいよ延期したイベントをやる、というのが今回。

開催地はホットな東京。
延期はしたが状況はさっぱりよくなっていない。

しかし今振り返ってみてみると、2020年4月5月の時点では「どういう対策をするべきか」ということがよくわかっていなかった時期に思う。
また、感染者対策のために必要な資材(消毒液やマスク)などは品薄で、手に入れることができなかった。
あのとき延期しなければ、何もわからないまま、ほぼ無対策でデンジャーゾーンに突撃することになっていたと思う。
やはり2020年4月5月時点では延期するしかなかったように思う。

2020年3月26日に延期をアナウンスし、その間に他のオンリーをやっつけたので作業の手はいったん止まっていたが、一応やるべきことはやっていた。

延期するにしてもどのように延期するのかは一応考慮したが、何もかもそのままスライドして運営することにした。
カタログも入金済で刷り上がっていたので、配置もなにもかもそのまま。
状況がよくなっていたら追加募集もしようかなと思っていたが、それもできなかった。
空いていたスペースはそのまま「密」を回避するためのスペースになった。

時間があったので、過去のイベントの表紙や追加イラストをお願いしてポストカードセットを作ったりはしていた。少しでも印刷所にお金を落とすぞい!

  • 2020年8月13日 サークルに向けてアンケートを送る

そもそもの話になるが、「伺か」というジャンルのオンリーは若干特殊なところがある。

「伺か」とはデスクトップアクセサリーの一種で、自分でキャラクターを作り、動かすことができるツールである。
そして2020年時点で20周年を迎えるジャンルでもある。
サークルの半分以上が一次創作での参加の「ウチの子勢」で、残りが懐かしの任意ラジヲ時代からの古参兵。

20年もやっているのでイベントは同窓会的な側面もあり、イベント内の雰囲気はかなり独特である。
年齢層が幅広く、男女比も同じくらい。でもかなりの確率で顔見知りだし身内感が強い。
全参加者の1/3くらいはこのオンリー以外の即売会に行ったことがないとの説もある。

ぶっちゃけて言えば、サークル参加者・一般参加者共に同人誌即売会に不慣れな人が多い。もちろんこれは悪い意味ではなく、創作を始めるきっかけの窓口としての役割を果たしていると思うと大変にありがたい話だ。

これまでに「伺か」というジャンルのオンリーを開いた主催は私が知っている限りでも8人ほど。すべて独立イベントであるが、現在となっては主催しているのは私だけ。
全国いろんなところで開催したが、どこでやってもだいたい集まるメンツも同じ。
サークルも北は北海道から南は九州まで、全国いろいろなところから集結するので、コロナ禍のために参加できないというサークルが大多数になる可能性がある。

ということで、サークル向けて簡単なアンケートを実施してみることにした。

  • 参加が可能そうか/不可能そうか
  • 再延期となった場合の参加について
  • すでに宿や旅券をとってしまっているか

以上の内容でアンケートを取ったところ、その時点でサークルの1/3ほどは参加が不可能という状況にあることがわかった。
48サークルの参加があって、20弱はすでに参加不可能といった感じ。

どうしよう…。

自由回答欄にて意見を募る項目も設けていたために様々な意見を頂く。

これ以上延期をするのは良くない(サークルの熱量が持たないし、運営費用もかさむ)、中止は最もコストがかかるしせっかくなら開催したい等、そのほか様々な意見を頂いた。
それらを総合的に考慮した結果、イベントは決行。
まずはこの回を一旦終わらせる、そして再起を図る。という方針にすることを決める。

  • 2020年8月15日

予定通り開催の方針であるとアナウンス。

感染症対策についてもアナウンス。

ガルパンオンリーの時と違い、会場からのガイドラインの提示はなかったので、ガルパンオンリーの感染症対策をベースに内容を詰めて告知。
(詳しい内容は3と4を参照)

アフターイベントと一般参加者のコスプレは中止とした。
ガルパンオンリーとの大きな違いは会場の床面積。こちらのほうが狭い。つまり余裕がないのだ。

また開催時間を延長することにあまり意味を感じなかったため、時間に関しても通常通りにして、もし問題がありそうなら伸ばしますよという運用にした。

  • 2020年8月16日

サークル向けの搬入案内を一斉送信。
またサークル向けの感染症対策も同じくアナウンス。

基本的にこちらもガルパンオンリーと同じような内容にした。

とにかくマスク。マスクが必須。

パーティション的なものは任意とし、フェイスガードを推奨(こちらも任意)とした。

会場入り口で運営側で手指消毒・検温・マスクのチェックを徹底することで、会場内にいる人はすべて対策をしているという前提にします。あとはサークルさんが各々できる範囲でやってくださいというスタンス。

ここから開催直前までサークルさんや一般参加者さんからの相談や質問に対応する日々が続く。

また配置もそのままスライドし、180㎝机1本に2サークルのまま。
欠席が多く、また配置的にも余裕があったので机と机の間を広くとるということにした。

  • 2020年8月末頃 細かい対応を続ける

今回の会場は設営が自前(つまりスタッフで机を並べる)。
また私も大阪での経験があったので対策についての勝手はある程度わかっている。
会場もよく知った会場なので、導線などの検討もついている。
そのため会場との打ち合わせはあまり無く、重要事項の確認などをしたのみにとどまる。

印刷所との搬入のやりとりや、サークルさんからの質問に対応する日々。

過去のカタログの表紙やチラシなどをポストカードにしたものを作る。なんと12枚のセット。
印刷所さんに少しでもお金を落とそうというのもあったし、コロナ対策や延期によって出費がかさんでいるので補填の意味もある。
また欠席が多いイベントになることは目に見えているので、少しでも一般さんが来て手にできるものを増やそうという気持ちもあった。

  • 2020年9月1日(開催まで1週間)

天気予報で台風が発生したことを知る。

ええ!?この状態で台風までくるんですか!?

勘弁してくれ。

どうやら西に向かっているが、台風10号のせいで来れなくなった西日本のサークルさんがでてしまった。

誰のせいにもできない。
ともかく荷物の梱包など作業を進める。

  • 2020年9月6日 開催当日

基本的な運営オペレーションは大阪でのガルパンオンリーと同じ。
最大でも48sp、287㎡の会場なのでスタッフも少数精鋭、私含めて6人で回す。

入口で手指消毒、検温、カタログ頒布をして中に入れる、全員マスクは必須。これだけは死守すること。

あとは通常の同人誌即売会とほぼほぼ同じような流れで開催。特に大きな問題もなし。

天気もギリギリ持ってくれた。

状況により入れ替え制になるかも、というアナウンスはしたが、入れ替え制になることはなく終了。
なんだかんだ一般参加者100人くらいが出たり入ったりと、会場内はガラガラではないが密と言うほどでもないくらいの雰囲気で回る。

さしたる事件もなく終了。ありがたい。

会場は17時まで借りているのだが、15時で終了してしまった。もったいないけど仕方ないようね。

結局20ものサークルが欠席となった。私の力ではどうしようもない、すまない。
ほんとに申し訳ないが、どうにもできない……。
あまりに数が多いので何らかの補填はさせてもらうというアナウンスはしたが、詳細は割愛させて頂く。

8月にやったガルパンオンリーと1つ違う点がある。
ガルパンオンリーはコロナ渦中にサークル募集を開始したが、
伺かオンリーはコロナ渦以前よりサークル募集をしたのだ。
上手く説明できないのだが、この2つは心構えが全然違うのだ。

こうして私の半年に及ぶ、即売会主催3つという戦いは終わった。終わってないけど。
他にもいろいろ作業は残っているが、特にコロナ対策として書き残しておくべきこともないので、ここで終了とする。

どうもおつかれさまでした。

  • 余談というか

本来であれば、9月は来年3月頃に開催するイベントの会場を抑える時期である。
(この記事は2020年9月が初稿です)

ところがどっこい、会場がない。ないわけじゃないがない。

新型コロナウイルス対策でどの会場も定員を制限しているのだ。

2020年9月頭の時点で政府が要請している制限は、屋内に限れば収容率の50%まで。そして最大でも5000人までというもの。
この制限のために同人誌即売会にかなりの影響が出ているのは想像の通りである。
5000人までという制限のために大型のイベントが不可能になるばかりか、収容率50%という数字は小規模オンリーにまで波及してくる。

収容人数というものは消防法によって算出される。
で、ぶっちゃけて言えば同人誌即売会は「出たり入ったりする人間が大多数」であり、しかもホールが想定する使い方からも若干外れている使い方をしているため、今までは収容人数を厳密に考慮してはいなかった。
それでも最大収容人数を大きくオーバーするということは稀である。
なんとか収まるよね、くらいの数字であった。

40~60spほどのイベントであれば300㎡前後の床面積が必要である。
例えば、私がいつも使っている300㎡クラスのホールの収容人数は120~150人くらいであるが、制限が入れば60人になる。
この制限された人数で何ができるのよって話である。

300㎡の50spだと、スタッフとサークルだけで制限人数に達するのである。
一般参加者を受け入れることができなくなる。

300㎡で募集サークル数を半分にしようすると25spになってしまう。
例年50sp集まっていたイベントをいきなり25spまで縮小すると抽選にせざるを得なくなる。
では50sp分の床面積をということで開場を探すと600㎡クラスになってしまう。
サークル参加費というものは会場代を募集サークル数で割って決めるので、どちらにせよ参加費は倍になる。しんど。
しかも600㎡クラスの会場は地方都市だとあまりない。あったとしても価格に見合わないのがほとんど。

野外開催?無理無理カタツムリや。

会場によっては会場名に企業名が入っているところもある、”何かあったとき”に企業イメージに傷がつくことを恐れて貸してくれないというところもある。
同人誌即売会は不特定多数の人間が出入りするからね。しかたないね。

運よく条件を満たす会場があったとしても、会場は同人誌即売会だけのためにあるのではない、そのほか多くのイベントと取り合いである。

どーにもなりまへん。

9月のオンリーが終わった後、参加者から聞かれました。「次回は何時?」
私は「人類が新型コロナウイルスに打ち勝ったら」としか答えられないのであった。